最近「隣の家族は青く見える」というドラマの話題

が出てきています。妊活を中心に、色々な家族の

あり方や幸せを真正面から描いたいい作品でした。

 

当院にも妊活に来られる人がたくさんいらっ

しゃいます。今回は少し、東洋医学的な観点から

妊娠について説明してみたいと思います。

 

現代医学でもまだまだ謎の部分が多い妊娠。

科学が発達し、体外受精のように受精卵までは

人工的に手伝いができたとしても、子宮内に

戻してから着床までは自然に任せるしか

ないのが現状の限界だと思います。

 

東洋医学では妊娠は「精」というものを重視

します。この精というのは人の生・長・

荘・老・死の過程と生殖機能を支配するとともに、

人に栄養を与え滋潤する物質と考えています。

 

東洋医学でよく出る「気」「血」「水」とは

また違った生命の根源、これに意識という意味

での「神」が宿り「精神」という言葉が生まれ

人間を人間として成り立たせる、いわゆる

「代々伝わる秘伝のタレ」のような物でしょうか。

例えが雑で申し訳ないのですが・・・。

 

精が多ければ肉体が丈夫で精神も安定し、

精気が停滞せずに流れていれば病気は発生せず

ずっと健康で子を成せるとあります。

 

この精は「先天の精」と「後天の精」に分け

られます。先天の精は両親から受ける精こと。

両親の精気が多ければ生まれながらにして

丈夫でありますが、逆に少ないと生まれつき

弱い子になったりと色々あります。最近多い

アレルギーやアトピーもこの精気不足による

ものではないでしょうか。

 

後天の精は生まれた後に摂る飲食の精です。

後天の精は常に五臓六腑を潤し、先天の精を

補充し続ける関係にあります。

 

妊娠に必要なのはこの両者の「精」と呼ばれる

もので、この精が失われる原因として一番に

あげられるものは「疲れ」と「ストレス」です。

 

この疲れとストレスは気や血を消耗し、血から

精を生成できず「精虚」という状態になります。

これは精子ばかりでなく卵子にも同じく精と

いう漢字を用いますが、これらが足りない

状態が不妊という結果を招くと考えられています。

 

よく言われる卵子の質が悪い、精子の運動量が

少ない、どちらもいいのになぜか受精しない

などはこの目に見えない・数値に現れない

「精虚」が原因な気がします。

 

基本的にどんな動植物でも、自分の体力に

余裕がなければ種や子供を残せません。

まずは自分の体が優先です。現代生活は特に

精を消耗しすぎたがために、不妊で悩む

ご夫婦が多いように思います。

 

そもそも両親からもらう先天の精が少ない場合や、

小さい頃からストレスや冷え、食生活の乱れ、

働き始めてからのストレスと残業〜睡眠不足と

すべて精を消耗します。子供を残すよりもまず

自分の体に余力を残すことが妊娠への一歩、

流産しやすい体質も一緒です。この精気が

足りないことが東洋医学でいう原因の一つです。

 

うちで睡眠を取ることをうるさく言うのは、

まずは「精」を蓄えてもらうことが大切だから

です。疲れをとり、滋養のあるものを食べ

ストレスから離れることが第一。そう思うと

現代社会は妊娠から程遠い生活だと思います。

 

ストレスも精気や精神に大きく影響します。

精神が病むと、生理が止まったりEDになったり

という話を聞きますが、生殖器はストレスに

とても弱いですね。まさにこの「精」を失う

からだと思います。

 

当院では、ある程度体に精が貯蓄でき、体外受精

での妊活で午後10時あたりでちゃんと寝れて

いた人で妊娠しなかった人は未だいません。

午後10時以前に眠れるか寝れていないかは

大きな壁になっているように思います。

 

先天の精が足りない人は子が成せないのかと

言われればそうではなく、後天の精でもって

補うことができます。胃腸を健全に保ち

睡眠でもって日々の疲れをとることで、生まれ

つき弱かった人でも健やかな体になります。

 

よく、生まれた時から弱かったという人も

養生や無茶をしなければとても強い人になれ

ますよね。逆にどれだけ先天の精をたくさん

持った人でも過労や消耗で弱っていきます。

 

精を補うには1にも2にも睡眠。体が疲れて

いるという状態を取るには1年かかる人も

います。しかし、そこで貯めた精は必ず結果

に繋がると思います。

 

まずは最低でも午後10時には就寝。

朝起き、陽の光を浴びること、暴飲暴食を

しないこと。これらを守るだけでも体は

おのずと回復するはずです。

 

現代の日本の社会の歪みが今まさに体への

歪みに出ているように常々感じています。

あのバブル時代の24時間働けますかという

キャッチコピーの元、精をどれだけ使い

果たしてしまっていたのでしょうか。

 

人の体力は無限ではありません。動けるのは

老後の精の貯金を使っているようなものです。

突然死もまさにこれにあたる気がします。

 

不妊治療で悩まれている方のご参考までに

長々と書きましたが、現代医学とはまた

別の視点で治療に取り組まれてはいかがで

しょうか。全力でサポートいたします。

 

*ひなはり灸治療院*

 上辻 ひな子