ここ最近、東洋医学に興味を持ってくださる方が

多くいて嬉しい限りです。現代医学では治すのが

難しいとされる病気が、実は東洋医学の得意

分野だったりする事が多々あるんですよね。

 

かくいう私も、幼少期から体がボロボロだった

にも関わらず、今はおかげ様で元気に生きて

おります。鍼灸や漢方さまさまです。

 

今日は少しマニアックなお話を。

よく東洋医学には病名はないのですかと

聞かれますが、ちゃんと存在しています。

ただ、現代医学には馴染みのない名前や

病気に対しての考え方が全然違うので

言っても「?」になるのが難しいですね。

 

東洋医学でいう病名は「証」と

言います。この証を立てるために、脈をみたり

お腹・舌・足・目など色々な部分を触ったり

するわけです。定義としては「疾病の進行過程で

発病因子および他の関連する諸因子の作用が体に

生じさせる、総合的な臨床所見」でしょうか。

 

よくいう「病」というのは、疾病の発生・発展

から結末にいたるまでの全過程を反映したもの

ですが、「証」は厳密な段階性があり、それぞれの

段階に異なる証が現れるものです。この証がうまく

立てられ、それに合わせて適切な治療を組み合わせ

ることができるようになるのが理想ですね。

 

漢方もそもそもはこの「証」によって出される

お薬です。医者が出す漢方で時にハズれる事が

多いのは、この「証」とは違う「症」(症状)で

出しているからですね。脈も舌もお腹も診ないで

漢方を出すのはどうかな・・と思う事もあります。

 

東洋医学をかじっていると少なからず耳に

するのは「陰陽五行学説」です。中国哲学に

基づいたこの考えは東洋医学を語るに欠かせない

要素ではありますが、あくまで基礎。

 

これと並行して、体質的要素、社会的要素、

心理的要素、自然的要素を加える事で、人の体に

影響する相互関係を総合的に判断し、証を立て、

その時にできうる治療をするのが東洋医学です。

 

証の立て方ですがざっと10種類。「平脈弁証」

「動態弁証」「症状相関弁証」「特徴弁証」

「症状比較弁証」「時相弁証」「仮象識別弁証」

「治療帰還弁証」「湯方弁証」「分型弁証」。

長くなるので割愛しますが、様々な情報を集め

る事が証に至るまでの道のりですね。

 

たまに陰陽五行論で行き詰まっている人を

見かけますが、東洋医学というのは五行だけ

ではないという事を知ってもらえればと思い

こんな話をしました。

 

目が悪ければ肝、耳が悪ければ腎、顔が黄色

ければ脾、色白なら肺、冬は腎臓がだけが弱る

というわけではありません。五行色体表だけで

証が立てられれば苦労はありませんね。

 

東洋医学で一番してはいけないのが、特定の

弁証に偏るという事だと思います。そもそもの

東洋哲学自体が、1つの事象を様々な観点から

見て把握することですから。細分化して

視野を狭くするのではなく、少し離れた所で

現象の流れを把握することの大切さを忘れ

ないでいてほしいです。

 

また、漢方や鍼灸だけが東洋医学ではなく、その

考え方によっては手術や抗生物質のような現代

医学に依存する事も大切だと思います。

少しマニアックになりましたが、こういう話が

好きな方もいらっしゃるかなと思いました。

 

本格的に東洋医学が勉強できるのは鍼灸の

学校ではないかと思います。しかし、臨床に

活かせる話となると難しい所ですね。こういった

マニアックな東洋医学講座もいずれできればと

思います。ありがとうございました。

 

*ひなはり灸治療院*